くるくる、くるくる廻って近づいてはいるのに届かない。
  まるで彼のよう。




   コノハ偲び


   穏やかに陽射しは降り注いでいて、
  ぽっかりとまあるい雲が浮かんでいた。
  風はしなやかに木々の間をすり抜けて、
  カーテンと戯れてゆく。

   ぼんやりとベンチに座り、
  手元の本をぱらぱらと意味もなく捲ってみる。
  漸く読める本なのに少しも頭に入って来ない。

   思わず溜め息をついて本を閉じると、
  挟まっていたものが風にのって柔らかく舞い落ちた。

   丁度大きさが文庫本に合っているだなんて言い訳しながら
  栞としてずっと使っていたもの。

    あの時の椛の葉。


   最初はそのまま使っていくつもりだったけれど、
  乾燥しきるとぼろぼろと崩れてしまうのを知っていたから
  仕方なく薄い和紙に綴じ込めた。

   よもや彼も私がいつも使っている栞があの葉だなんて思いはしまい。
  肝心なところは酷く鈍い彼のことだから。


   いっそそんな彼への想いも一緒に閉じ込めてしまえたなら良かったのに。